突然、大量の汗をかいたり、かーっと身体が熱くなったり、顔が赤くほてったりして困るといった症状がでることはありませんか。
これらは「ホットフラッシュ」と呼ばれています。
なぜホットフラッシュは起きるのでしょうか。
つらいホットフラッシュの対処法として有効な方法はいくつかありますが、ここでは漢方について紹介していきます。
ホットフラッシュとは?

「ホットフラッシュ」とは、のぼせ・ほてり・発汗などの症状のことを指します。
直接的な原因は、自律神経が乱れ、血液の循環が滞ることによって起きるといわれている症状で、更年期を迎えた女性の多くがホットフラッシュに悩まされているようです。
更年期は、40代半ばから50代にかけての、閉経時期前後の期間をいいます。
更年期になり、徐々に閉経に向かうことで、女性ホルモンの分泌が減少し、ホルモンバランスが乱れることによって起きるさまざまな不調(不定愁訴)が更年期障害です。
ホットフラッシュは、この更年期障害の症状のひとつに挙げられます。
更年期の特徴として、冷えとホットフラッシュをともなうこともあり、上半身はのぼせ、下半身は冷えるという「冷えのぼせ」という症状がある方も多いようです。
ホットフラッシュの治療方法
西洋医学では「ホルモン補充療法」が有効とされています。
これは、不足した女性ホルモンのエストロゲンを増やすという治療法ですが、治療に向かない方もいるので注意が必要です。
いっぽう、東洋医学では副作用が少なく、治療に高い効果が期待できる「漢方薬」が治療に使われています。
漢方薬は症状だけでなく、本人の体質や生活習慣などを、総合的に診療して処方していくので、オーダーメイドのような処方になるようです。
ホットフラッシュを漢方で改善する

更年期障害の症状のひとつ、ホットフラッシュを改善するには、ひとりひとりに合わせて処方する漢方が効果的だといわれています。
では、漢方とはどういうものでしょうか。
漢方ついてみていきましょう。
漢方とは?
漢方では、処方をするための独自の理論があります。
体質を診る「証(しょう)」と、不調を探る「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という考えです。
漢方薬は、もともとの体質である「証」と、今の体調(不調の原因)「気(き)・血(けつ)・水(すい)」によって、ひとりひとりの体質に合わせた処方がされます。
「証」は体質
体質を測る「証」には、身体が弱い人から強い人まで3タイプあります。
- 虚証:華著で疲れやすい人。胃腸は弱く、食欲もない。
- 中間証:虚証と実証の中間の人。体格や胃腸の調子は普通。
- 実証:筋肉質でしっかりしており、体力がある人。胃腸は丈夫で食欲も旺盛。
「気・血・水」が生きる基本
漢方では、人間の生命活動に必要な3つの働きを「気(き)・血(けつ)・水(すい)」とし、身体のどこが不調なのかを調べます。
3つのうち、どれかが乱れると、体調も乱れてしまいます。
「気・血・水」のバランスを保つことが、更年期対策にも有効なのです。
- 気(き):エネルギー=生命エネルギーの基本である「気」。気が滞ることを「気滞(きたい)」、気の量が不足することを「気虚(ききょ)」という。
- 血(けつ):血の巡り=血の巡りが悪い時を「おけつ」、血が不足することを「血虚(けっきょ)」という。
- 水(すい):水分代謝=血液以外の体液全般のことです。体に水が溜まり、うまく排出できない状態を「水毒(すいどく)」という。
ホットフラッシュは、このなかで「血(けつ)」に問題のある方に起こる症状です。
漢方薬は、血の巡りをよくする効果のあるものをおすすめします。
ホットフラッシュに効果的なおススメ漢方6選

ホットフラッシュの改善に、効果を期待できる漢方薬を紹介します。
自分自身の「証」タイプに合わせて選びましょう。
漢方医や漢方薬局で処方してもらうのが、もっともよい方法なのですが、「ツムラ」や「クラシエ」の漢方薬など、ドラッグストアで市販されている商品もありますので、まずは気軽に試してみたいという方も参考にしてください。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
血液の循環をよくして、ホルモンのバランスを整えてくれます。
更年期障害の症状全般に効く漢方薬です。
- 症状:のぼせ感、肩こり、疲れやすい、精神不安やいらいらなどの更年期障害、不眠症など
- 配合されている生薬:サイコ・シャクヤク・ソウジュツ・トウキ・ブクリョウ・サンシシ・ボタンピ・カンゾウ・ショウキョウ・ハッカ
*体力が低下している虚証タイプの方向け
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血の流れをスムーズにし、熱のバランスを整える漢方薬です。
のぼせなどに効果があります。
- 症状:肩こり、頭痛、めまい、冷えのぼせなどの更年期障害
- 配合されている生薬:ケイヒ・ブクリョウ・ボタンピ・トウニン・シャクヤク
*比較的体力がある実証タイプの方向け
女神散(にょしんさん)
加味逍遙散(かみしょうようさん)に近い処方ですが、体力があり胃腸の強い方に向いている漢方薬です。
血行をよくし、のぼせを改善し、熱をさます作用があります。
- 症状:めまい、のぼせ、ほてり、肩こり、胸の張り、動悸、気分が沈む、便秘、頭痛など
- 配合されている生薬:トウキ・センキュウ・コウブシ・ソウジュツ・ケイヒ・オウレン・ニンジン・ビンロウジ・チョウジ・モッコウ・カンゾウ
*中間証~実証タイプの方向け
温経湯(うんけいとう)
下腹部の血流をよくして改善するので、下腹部が冷えるが、手足がほてるという方に適している漢方薬です。
また皮膚の乾燥にも効果があります。
- 症状:手足のほてり、唇が乾くなどの更年期障害、月経不順、不眠など
- 配合されている生薬:バクモンドウ・ハンゲ・トウキ・カンゾウ・ケイヒ・シャクヤク・センキュウ・ニンジン・ボタンピ・ゴシュユ・ショウキョウ・アキョウ
*体力が低下している虚証タイプの方向け
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
便秘がちの方に効果がある漢方薬です。
便秘やほてり、のぼせがある人の血の巡りをよくします。
- 症状:月経困難、のぼせ、肌荒れなど
- 配合されている生薬:トウニン・ケイヒ・ダイオウ・ボウショウ・カンゾウ
*中間証~実証タイプの方向け
命の母
顔がほてる・イライラ・疲れなどの更年期障害の症状に効く薬です。
漢方の「気(き)・血(けつ)・水(すい)」を補う、13種類の生薬を配合しているので、更年期障害の症状全般に効果があります。
漢方薬は「証」に合わせて選びますが、命の母は「証」に関係なく服用することができます。
「三大婦人用漢方薬」と呼ばれる「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」がバランスよく配合されているからです。
血行をよくする生薬(ダイオウ・センキュウ・コウカ・シャクヤク・トウキ)が配合されているので、ホットフラッシュの症状にも有効です。

引用:Amazon
メーカー:小林製薬
価格:756円(1週間分84錠)~
命の母には40代~50代の更年期障害に悩む方向けの「命の母A」と20代~40代の生理痛や生理不順などの症状に悩む方向けの「命の母ホワイト」があります。
顔がほてるなどのホットフラッシュに悩んでいる方には「命の母A」がよいでしょう。
錠剤なので飲みやすいのもオススメポイントです。
漢方との上手な付き合い方

一般薬とは違い、漢方薬はひとりひとりの体質や症状に合わせて服用するものです。
そのため、薬が合えば効果がありますが、薬が体質に合わず、なかなか症状を改善できない場合もあります。
症状が重い、市販薬では効果がないという方は、専門の医師に診てもらうことをおすすめします。
ご自分の体質やそのときの症状に合わせた、漢方薬を処方してもらいましょう。
また、漢方は西洋薬と異なり、すぐに症状をおさえる即効性はありません。
最低でも3か月は続けることが大切です。
日々の生活習慣を見直す
ホットフラッシュは、血の巡りが関係しています。
血の巡りをよくするには、普段の生活を少し見直してみるだけでも違ってくるかもしれません。
いつもの生活習慣を見直し、漢方も上手に取り入れて、ホットフラッシュ対策してください。
食生活の改善
自律神経が乱れると、血の巡りが悪くなるので、自律神経のバランスを整える成分が大切です。
ビタミンやミネラルを多く含む食品を意識して、バランスのとれた食事を心がけましょう
適度に体を動かす
ストレッチやウォーキングなど軽い運動で身体を動かすことで、血液の循環がよくなり、症状が軽くなるといわれています。
また、身体を動かすことで心身ともにリラックスし、日々のストレスが軽減される効果も期待できるので、意識して体を動かしましょう。
漢方でホットフラッシュから解放されよう

いかがでしたか。
ホットフラッシュを改善するための、漢方について紹介しました。
ホットフラッシュを治したい方、漢方に興味がある方は参考にしてみてください。
ただし、漢方といっても医薬品には変わりありません。
専門の漢方医や、漢方薬局で相談して、自分にピッタリの漢方を処方してもらうことが、症状改善の近道になります。